2008年03月01日

疑わしきものは……白?

今日は、現在の天然石市場に蔓延している暗黙のルールの中でも、特に「これはおかしいのでは?」と感じているものをタイトルにしてみました。



疑わしきものは、白。

現在の天然石市場では、たとえ疑いがあったとしても、検証されていない天然石に対しては、売り手が販売がしやすい名称や説明書きを使用する(もしくは使用しない)という傾向があります。この方法論では、極端な話、検証さえしなければ都合のいい名称を使って天然石を売ることができてしまいますので、消費者にとっては大変危険です。

具体的な例をあげるとすれば、シトリン、タンザナイト、ルビーなどに施されている加熱処理、エメラルド、トルコ石などに施されている含浸処理などは、たとえ売り手が知っていても、処理情報が商品説明に記載されない事のほうが多いとなります。

ちなみに記載しない理由を尋ねると「普通処理されているものだから」という主旨の返答が返ってくることが多いです。私自身、天然石に関わり始めた極々初期の頃、シトリンと銘打った商品に色々と混乱させられた経験があります。「石は天然です(処理はされてます)」と返答されたことや「普通に考えて、この値段で天然色なんてことはあり得ないでしょう」と笑われた事もありました。




消費者には見えない「処理情報」

処理情報を表示しない理由には「商品が売りにくくなるから」「売っている本人が取扱商品の詳細を知らないから」などの理由があるようです。

私はこれまで、たくさんの天然石業者様に処理に関する質問をさせて頂きましたが、比較的丁寧な回答を下さる方々でも、今後の対応については「きちんとした説明をしたほうがいいのは分かっているけれど、他の業者さんがみんなやってないのに、自分のところだけ処理内容を表示するのは、ちょっと……」と言葉を濁されることがほとんどでした。


では、処理について知らせないこと、隠していることがなぜ問題となるのでしょうか? この問いに対しては、人それぞれに答えが違ってくるでしょうが、私の答えは「それを知りたいと考える消費者が存在しているから」となります。




購入する立場の方々に知っておいてほしいこと

処理情報の表示に関連して、購入者の立場である方々にも是非知っておいて頂きたいことがあります。

現在の天然石業界では、購入者の立場に立った商売を行うことは決して容易ではありません。


誠実な商売を志す方がいらっしゃらないわけではないのです。ただ、誠実な商売をしていても相応の評価が得られないので継続が難しいのです。なぜ誠実さが相応の評価を得られないかといえば、不誠実な商売をしていても誠実であるかのように装えてしまう業種だからだと私は考えています。

天然石という商材は、やりようによってはいくらでも利益を上乗せできてしまう商材なのです。そのような商材には当然のように騙しがつきまといます。それはなにも日本国内に限ったことではありません。これから先の記事の中でもお伝えしていくつもりですが、天然石とは、世界の様々な国で騙しや誤魔化しが行われている商材でもあるのです。

特に海外で買付けをする場合、そこでは日本の常識がまったく通用しません。無知であれば必ず騙されます。特に日本人の場合(私も含めてですが)自分が購入する商品を他人に補償してもらう、という方向に考えが傾きがちなのだそうです。そしてその事が、現地買付けでおかしなものを購入してくる大きな原因の一つとなっているようです。


確かに、これまで疑問を持った天然石について問合せると「現地ではそのように売っていた」「信頼できる業者から仕入れている」という回答を頂くことが多くありました。もちろんそれらは、私がした質問への回答としては成り立っていないのですが、回答の代用品としては現在も当たり前のように用いられています。


だったら誰に尋ねればいいのか。
誰にきけば必要な答えが返ってくるのか。
そのような情報を必要とすることは間違いなのか。
販売している人間に聞くことが間違いなのか。
だとしたら、中間業者とは何のために必要なのか。
そこに利益が生まれる理由は何なのか。


回答を得られない疑問が更なる疑問を呼び、結局は自分で調べる、という方法論を取ったわけですが、この手の疑問は今でも強く感じています。

「責任を伴わない場所に発生する利益」が当たり前になりすぎている現実。誠実な商売を志す人ほど、不必要とも思える苦労を背負わなければならない現状。

こんなことを続けていては、購入者の視点に立った商売をしてくださる方がいなくなってしまいます。報われないと分かっている努力をいつまでも続けられる寛容な人は、そうそういるものではないでしょう。



時代の変化と視点の変化

値段が安いことが=良い、とされた時代がありました。そのしわ寄せが目に見える形で現われはじめています。まずは食品から。けれども食品だけの問題ではありません。

信頼できる業者さま、販売者の方を求めるならば、消費者もまた視点を変えていかねばなりません。今ある現状は、これまでの積重ねの結果なのですから、別のものを望むならば、違う何かを積重ねる必要があると私は思うのです。


とは言っても、私も時々は迷います。特に「騙された私が馬鹿でした」という主旨のメールを頂くと何よりこたえます。騙す方に責任があることは明らかなのに、どうしてお金を払って商品を購入した人が、こんな風に傷つかなくてはいけないのか。それを考えると本当にやり切れません。

同時に私のやっていることは、そういった人たちの傷口に塩をすりこむことでしかないのではないか、と考えてしまうのです。もちろん私の目的はそこにはありません。ただ現状、私が目的とする場所は遠く、努力するとなら約束できますが、必ずたどり着けるとお約束することもできません。


ですから、このブログをご覧になる時には「知りたくかった情報を知ってしまう可能性」を頭の片隅に置いておいてください。知りたくないことは知らずに済ませるという自由が、購入する立場の方々にはあると思います。私は、自分なりに石を楽しみたいと考えていらっしゃる方々の、気持ちを踏みにじりたくてこのようなブログを続けているのではありません。

けれども、私の書く記事にそのような方々を不快にさせてしまう内容が含まれていることは、少なからず自覚しています。天然石に関わることで利益を得る方々へ向けて書く内容も少なくありませんので、今後もそうなるでしょう。

利益を得る人間には、利益を得ない人間とは別の責任が生まれる、と私は考えています。そして当然、このようなブログを書く私には、書かない人とは違う責任が生じます。ですから私の考えを批難される方々がいらっしゃる事もまた、当然だと考えています。





さて、話がそれましたが、天然色として販売されていた処理石に話を戻します。




■天然色として販売されていた処理石の例

実は12月の頭から、ある天然石に対する処理表示の曖昧さを追ってきました。すでにご存知の方も多い処理だとは思いますが、処理品である事が分かりやすく、現在も天然色として販売されている事実が確認できましたので、例として取りあげさせていただきます。


まずは、次の写真をご覧ください。


bt04.JPG


ブルートパーズのペンダントトップです。


こちらは、実際に販売されていた商品を購入して検証したものです。もちろん購入前に加工品かどうかの確認をしましたが「天然色です」との回答を頂きました。

けれども、これは照射処理品です。無色のトパーズに放射線照射を行ったあと加熱処理が行われています。このような処理が施される理由には、無色のトパーズよりもブルーのトパーズの方が市場での商品価値が高いことがあげられますが、そもそもこの色のトパーズは天然には存在しません。

無処理のブルートパーズとは、もっとずっと薄い色をしています。また、無処理品には退色性などの問題があるため、これまで市場への流通はほとんどないとされてきたようです。(全くない、というわけではありません)

無処理品が欲しいと思われる方は、無処理である事がはっきりと明記されている商品を選び、購入前に「なぜ無処理品であると断言できるのか」を問合せられた方が無難だと思います。何らかの納得がいく説明を聞くことができなかった場合、もしくは「信頼している業者からの仕入れ品だから」等の理由を告げられた場合は注意が必要です。

拘って仕入れをされた天然石の中にこそ、無処理のブルートパーズは存在しています。もちろんこれは人間によって値段をつけられ、市場に流通している商品であることを前提としています。



では、この商品がどのように販売されていたのか。購入元のページへのリンクを貼っておきますのでご確認ください。※リンクが切れた場合は、保存している画像と差し替えさせて頂きます。

18K ブルートパーズ チェッカーボード ペンダントトップ


ちなみに、前回ブルームーンストーンを検証した際には自分で鑑別書を取りましたが、今回はショップチャンネルさんの方で取ってくださいました。なので鑑別書画像は添付していませんが、照射処理品であることは双方確認済みです。



市場で商品として扱われているブルートパーズは、ほとんどが照射処理品

そもそも一般に「ロンドンブルートパーズ」「スカイブルートパーズ」等と呼ばれる商品は、ほぼ100%放射線照射によって作られています。ショップチャンネル様が取扱われている商品に限ったことではありません。

ですから問題は、照射処理がされている事ではなく、照射処理品が「無処理品」と説明されてしまう事にある、と私は考えています。しかも問合せをしていると強く感じる事ですが、間違った情報が正しい情報であるかのように、消費者に伝えられている現状があります。

上記のペンダントトップについて色加工の有無を問合せた時も「加工のされていないナチュラルなお色です」との返答を受けました。念のため2回問合せましたが、2回とも同じ返答でした。


この件について、ショップチャンネル様からは次のような回答を頂きました。


商品の注文を受付けるオペレーターが確認する画面があって、その画面の加工に関する内容が、確認ミスを起こしやすい状態になっていた。そのため本来は色加工品と伝えるべき商品に対して、天然色の商品だと伝えてしまった。初歩的な案内ミスなので、今後はこのような事がないよう、オペレーターの教育を徹底していく予定である。


要するにショップチャンネル様側の言い分を一言で表すと、こうなります。


今回の件は、電話対応をしたオペレーターの初歩的なミス。


けれども私は、この回答に対して大きな疑問を感じます。と言うのも、この商品の放送内容やWeb上の商品説明を見る限り、色加工品である事が購入者には伝わりづらい仕組みになっている事が原因なのでは?としか思えなかったからです。

そもそも放送中、もしくは商品説明欄で色加工について適切な説明しておけば、購入者がわざわざ問合せをして確認する必要も、今回のように初歩的な案内ミスが起こることもありません。事前に打てる手があるのにどうして打たないのか。ショップチャンネル様にも質問してみましたが、それに対する回答は次のようなものでした。

「今後お客様からのそのようなニーズが増えてくれば、対応も検討させて頂きます」


顧客からのニーズを受けとる姿勢としては、根本がおかしいのではないか思うのですが、私だけでしょうか。

「これまではそのようなお客様からのニーズはなかった」とショップチャンネル様はおっしゃいましたが、色加工について一切触れない放送内容を見せ続けていれば、確かにそのようなニーズは最小限に押さえられるでしょう。けれども、それは本当にニーズがないということと繋がるのでしょうか。

私は「違う」と考えています。

ニーズがないのではなく、ニーズが生まれないような仕組みになってしまっているのではないですか。そもそも最初からトパーズの色加工に関して情報をもっている購入者なら、問合せるまでもありませんし、購入判断をする場合も、色加工品であることを前提に考えることができます。

ですから、処理情報を正しく伝える必要があるのは、トパーズに対する色加工の現状を知らない購入者となるはずですが、現在の放送や商品説明では、どの商品に対して問合せが必要かすら明確になっていません。それがわからないことには、購入者としても問合せようがありません。そして問合せがないということが、結果的にニーズがないというショップチャンネル様側の解釈に繋がってしまうのだとしたら、それは購入者にとっては不利な環境だと言わざるを得ません。



長くなりますので、次回に続きます。



■次回予告
今回の記事の続きを掲載する予定ですが、その前にひとつスーパーセブンに関する記事を挟むかもしれません。今年もツーソンに行かれた方々から色々とお話を聞くことができ、なぜ本来ヒーリング系に分類されるはずの石が、これほどまでに節操なく販売されるようになってしまったのか、という私自身がずっと引っかかり続けてきた疑問に対して、自分なりの考えをまとめることができましたので、近々記事にしたいと思っています。
posted by isinohanasi at 19:41 | 処理品・加工品についての情報
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