2007年11月19日

ブルームーンストーンの嘘

ここ数日間考え続け、迷い続けた結果「ブルームーンストーンの嘘」と題した記事の掲載を決めました。今日私がここに書く記事内容は、現在の天然石販売業者さまのお考えとは真っ向からぶつかるものとなるでしょう。批判や反論を受ける可能性は少なくありません。

これは私自身が自分で決めたことですから、間違っているというご指摘や反論にも耳をふさぐつもりはありません。直接メールにて連絡を頂ければ、多少お時間をいただく事にはなるでしょうが、お返事はさせて頂きます。ただし、以前にもお伝えしましたように、反論をするからには、最後まで自論に責任を持ってください。言い逃げはなしでお願いします。

私のメールアドレスは次の通りです。(アット)の部分を半角@に変更して送信してください。
ishinohanashi(アット)mail.goo.ne.jp



それでは、今日の本題に移らせていただきます。

「ブルームーンストーンの嘘」

現在の天然石市場では、ラブラドライトやペリステライト、その他フェルスパーに属する石にブルーのシラーを確認できる、というだけの理由で「レインボームーンストーン」「ブルームーンストーン」「ロイヤルブルームーンストーン」の名前を使用して商品を売買しています。それが常識とまで言い切る業者さまも少なくないでしょう。

けれども、私はあえて書かせていただきます。「それらの言い分はすべてがである」と。

スーパーセブンの時にもお伝えしましたが、市場の常識とは人間が勝手に作りあげたものであり、そこには嘘や誤魔化しや利益を得る為の細工などが組み込まれています。存在し得ない「スーパーセブン」が、いくら天然石市場で常識として扱われていたとしても、その結果が真実に結びつくことは決してありません。

そして今回の「ブルームーンストーン」にもまた、同じ事が言えるのです。

どれだけ市場の常識として広く知れわたっていたとしても、ラブラドライトやペリステライトがムーンストーンに変化することはないのです。ブルームーンストーンとは、古くからの歴史を持つ石であり、わずかではありますが「正真正銘の本物」が実在する石なのです。

私はパワーストーン重視の人間ではありませんが、天然石と関わるようになってからはいろいろな角度から石を知るために、パワーストーン系の書籍や宝石学、鉱物学系の書籍などを一通り購入するようになりました。パワーストーン系の書籍には「ムーンストーン」に対して、下記のような説明がされています。


−−−−−ここから、抜粋

「水晶と並び古代から人類に癒しを提供しつづけてきたムーンストーン」
「ムーンストーンは、その名のとおり、月と大変密接な関係にある」
「歴史は古く、古代ローマでは満月の祭礼に用いられていました」
「インドでは聖なる石と呼ばれています」
「中世ヨーロッパでは恋人への最高の贈り物とされてきました」

−−−−−ここまで


などなど。そして「ラブラドライト」に対しては、下記のような説明がされています。


−−−−−ここから抜粋

「宇宙や未来の知恵を伝える石として、近年特に注目を集めています」
「ラブラドライトはムーンストーンなどと同じ長石の一種ですが、やや硬質の拒絶感があります」
「霊感を鋭くし、インスピレーションをもたらす貴重な石」

−−−−−ここまで


また、宝石学的な書籍には「ムーンストーン」と「ラブラドライト」について次のような説明が成されています。


−−−−−ここから抜粋

■ムーンストーン

004.jpg

「化学式 KAlSi3O8」
「結晶系 単斜晶系」
「硬度6〜6.5」
「比重2.56〜2.59(スリランカ産2.56〜2.58、インド産2.58〜2.59)」

「主にオーソクレース分で、正長石と曹長石の薄層の交互の層状組織」
「スリランカ産ムーンストーンには、特徴的なムカデ状インクルージョンがみられることがある」
「GIA発行のGemstone Reference Guideにおいてもレインボー・ムーンストーンは誤称とされている」


■ラブラドライト

rabt0401.JPG

「化学式 40%NaAlSi3O8+60%CaAl2Si2O3」
「結晶系 三斜晶系」
「硬度 6〜6.5」
「比重 2.69〜2.72」

「名称は主要産地であるカナダのラブラドル半島に由来する」
「通常のラブラドライトが示す特有の光の効果をラブラドレッセンスという」
「ラブラドレッセンスの原因は、長石の一種であるラブラドライトの繰り返し双昌のための薄層の層状組織によって生じる光の干渉と、それに加えて内部の無数の小さな板状もしくは針状のマグネタイト・インクルージョンによって生じる光の効果の相乗作用に起因するという」

−−−−−ここまで


内容が複雑になることを避ける為、詳しい屈折率については記載していません。
また「ペリステライト」については残念ながら十分な情報が手元の書籍からは得られませんでした。なので、全宝協のリサーチレポートの中にあった「ペリステライト」に関する記述を一部転載させていただきます。

peri001.jpg
ペリステライトの鑑別書画像です。


−−−−−ここから転載

「外観はムーンストーンの様であるが、以下のように若干宝石学的特性が異なっていた。すなわち屈折率が1.53〜1.54 で比重は2.62〜2.63でそれぞれムーンストーンよりやや高めである。紫外線下では長波で不活性、短波で赤色蛍光を示した。宝石顕微鏡下ではムーンストーンの特徴であるムカデ状インクルージョンは観察されず、同様な外観を呈するラブラドーライト(本誌2003年6月号参照)に見られるような針状インクルージョンや双晶面が観察された」

−−−−−ここまで


このような比較をして、結局何が言いたいのかと思われる方もいらっしゃるでしょうが、私が言いたいことは次の1点です。

本物のブルームーンストーンが存在しているにも関わらず、それと似た石に偽の名前をつけ、ムーンストーンであると錯覚を起こさせるような販売をする事は間違いである


「市場ではこうなってます」とか「業者間では当たり前のことです」とか。そのような言い分をよく耳にしますが、それらは売り手の身勝手な欲やエゴから発生した嘘が、いつの間にか定着しただけの話であると私は考えています。


本物が存在しているのに偽物を売る。これはです。

長石の中で青い光の効果が出るものはブルームーンストーンである。これもです。

長石のグループの中のムーンストーンに分類される石の中でも、特にブルーのシラーが綺麗に出るものが「ブルームーンストーン」や「ロイヤルブルームーンストーン」である。これが真実です。


そして真実の要件を満たす石は、現在スリランカの特定地区からしか産出されておらず、今のように大量のブルームーンストーンが市場に出回ることなどあり得ないのです。「ブルームーンストーン」の市場における常識とは、売り手が商品を売りやすくするために作りあげた間違った常識です。それを十分な説明もないままに、購入者にも許容しろと強いているのが、現状なのではないでしょうか。もう一度繰り返しますが、

本物のブルームーンストーンが存在する限り、偽物は偽物です

石を商材として扱っておきながら、嘘の含まれた販売を続けるということは、ブルームーンストーンに対しても、ラブラドライトやペリステライトに対しても、そして当然、商品を購入していく消費者に対しても、とても失礼な行為だと私は思います。

ブルーがどうこうなどという以前に、自分達がムーンストーンではない石をムーンストーンとして販売しているという事実を、きちんと認識してください。そして願わくば、その石に与えられた名前が、購入者にも伝わるような販売方法へと改善していって下されば、これほど嬉しいことはありません。



最後に、購入者立場である方々へ
@ブルームーンストーン=ラブラドライトではない。
Aブルームーンストーン=ペリステライトでもない。
Bブルームーンストーン=ムーンストーン、これが正解である。
C本物のブルームーンストーンは存在する。
Dただし希少石のため、現在本物を入手することは難しい。

今後は、この5つの点を踏まえた上で、ブルームーンストーンと称された商品の購入判断をしてください。特に購入した商品に加工を加えて再販売されている方の場合、ムーンストーンではない石にムーンストーンの効能書きをつけて販売すれば、意図せずして嘘をついたことにもなりかねません。消費者が情報を得て防御をする。これもまた今の社会では必要なことのひとつです。


そして販売をする立場の方々へ
「私がつけた名前ではないから」などと責任を転嫁することはできても、偽物を本物に変えることはできません。たらいまわしにされ続けた責任の結果は人に跳ね返ってきます。その跳ね返りを引き受けさせられている人間が、必ずどこかにいるのです。そのような事のために、天然石を販売したり加工品を再販売したりされているわけではない……ですよね?

どうか今一度、業界の常識を見直してみてください。購入者にとって理不尽なものはありませんか? 売られている石にとって理不尽なものはありませんか?

間違いがあれば正せばいい、理不尽なものがあれば解消すればいい、ゆがみやひずみがあるなら元に戻していけばいいのです。それらを正しく変えていくことは、販売する立場の人間の責任であると共に、喜びにも繋がるのではないでしょうか。






posted by isinohanasi at 02:09 | ブルームーンストーン
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