2007年12月20日

消費者不在の「流通名」

現在、天然石業界のみならず、流通名と呼ばれる名称は数多く存在しています。今回私は特に「ブルームーンストーン」に焦点を絞って流通名に対して感じた疑問を、様々な立場の方々にお伝えしてきました。


では、なぜ私が「ブルームーンストーン」なる流通名を良しとしないのか。「市場ではそれが普通ですよ」と説明をされても、納得できないのは何故なのか。つい先日、自分自身に対するこの疑問に、やっと自分なりの答えを出すことがきましたので、この場にて記載させて頂きます。

私が出した結論とは、


消費者不在の流通名では、納得のしようがない




最近になってようやく、ペリステライトの名称を表記される販売業者様や、ブルームーンストーンとして販売してきた商品が、実はラブラドライトであることを明記される業者様も増えてきました。

ところが、既に10年近く前からラブラドライトはブルームーンストーンの代用品として販売されていましたし、ここ数年で代用品の主流がペリステライトに移行していた事実を、ご存知の天然石業者様も多かったのではないのでしょうか。

詳細までは知らなかったのだとしても、ブルームーンストーンの名称をつけて販売している商品が、実はムーンストーンに分類されない天然石であると知った上で、それでも販売を続けてこられた業者様は少なくないと思います。



この件に対して、多くの業者様はこうおっしゃいます。

「ブルームーンストーンは市場で定着している流通名ですから」



そして鑑別機関の方は、こうおっしゃいます。

「もちろん分類を明確にする事が好ましいとは思っていますが、販売にまでは口を挟めないので……」



私は天然石に関してはまったくの素人からスタートして、まだ1年も経っていません。ブログを立ちあげてからは半年も経っていない。だから分かっていなかったのです。鑑別機関の方々にとって販売業者様とは、いわゆる顧客であるという事を。


いろいろと難しい問題はあるでしょうが、本来ならば詳しい情報を得ることのできる立場にある鑑別機関の方々が、正しい表記の普及や、間違った表記に対する改善指導の陣頭に立たれる事が好ましいと、私は思います。




また、鉱物にしても宝石にしても結局のところ、

人間が分類をし、
人間が名前をつけ、
人間が採掘し、
人間が加工をし、
人間が値段をつけ、
人間が流通にのせた



利益の発生する「商品」なのですから、そこには必ず、何らかの分類基準や評価基準が存在しているはずなのです。基準が存在しなければ、名前も値段もつけようがありません。


ちなみに、この間のミネラルショーでも強く感じた事ですが、鉱物や宝石に名前をつけて販売されている方々が、鉱物名や宝石名を軽視した説明をされたり、石の価値は人それぞれが決めればいい、などと論じられる事に対しては、120%納得していません。それらの理屈は消費者が用いるものであって、販売者が安易に用いるべきものではない、と私は思います。


とは言っても、私は流通名の存在すべてを否定したいわけではないのです。私が業者様に申し上げたいのは「現在流通名だと主張されている商品や名称には、消費者の存在や視点を無視したものが多いのではないですか」ということです。


石名までもを変えてしまうような「流通名」を、どうしても使用したいと考えるならば、購入する立場の人間が混乱をせずにすむだけの「十分な説明」をしてください。また「十分説明」をしないのであれば、紛らわしい「流通名」などつけないで下さい。


本来の石名があるにも関わらず、あえて流通名を使用されている理由には「商品の価値や価格をあげる目的」が含まれているのではないですか?

そのような商品に対しては、より詳しい説明が必要になるでしょう。販売する立場の人間が、都合の悪い部分のみをあえて記載しないという事は、詐欺にも等しい行為です。確信犯的に事実を伏せているのであれば、消費者に対してあまりにも不誠実であると言わざるを得ません。


確かに、天然石やその他宝飾品を求める基準は人それぞれです。また、これも何度も申し上げている事ですが、私は流通名同様、加工品や処理品、合成品の存在を否定するつもりもありません。

その他「客観的にわかりやすい方法である」という理由から「鑑別結果」を用いた記事を書かせていただく事が多々ありますが、だからといって、石の価値をすべて数値に置き換えるべきだ、などと考えているわけでもありません。


消費者が自分のニーズにあった商品を選べるだけの情報公開を。
真面目な商売をしたいと願う人たちが潰されていかない環境を。



私が希望している事はこの二つ。ブログを立ち上げた時からの変わらない願いでもあります。


私はこれまでに何件もの天然石業者様から「取引拒否」をされてきました。どれも皆「本当のことを言ったから」か「間違いを証明して見せたから」です。そのような売り手優位の市場ルールは、やはり歪んでいると感じます。


消費者不在のまま作りあげられた業界のルールを、ただ黙って受け入れるしかないのでしょうか。間違っていると感じる事に対して「間違っている」と指摘する権利すら与えられていないのでしょうか。


私はこの先も、検証と情報の発信を続けます。業者の方々に忌み嫌われている事は知っていますし、個人の力でどれほどの事ができるのか、という疑問が頭をかすめないわけではありません。それでも私は続けます。

義務感からではありません。ましてや正義感などではあり得ませんし、自分の考えだけが「正解」だとも考えていません。


「何かがおかしいと感じたから」
「何かが間違っていると感じたから」



ただそれだけです。

私は私の中の「エゴや欲」といった、とても個人的な感情を基盤にして、このブログを立ちあげを決めました。継続の理由もまた同じです。それ以上でも以下でもありません。


消費者不在で決められた流通名には、納得のできないものがまだまだあります。ですのでまだしばらくは、業者様にとっては鬱陶しい存在であり続けるでしょう。


このような状況の中、いち早く消費者の立場に立った対応を取ってくださいました「千趣会」様には、心から感謝しています。詳しくは後日掲載させて頂きますが、いち個人のクレームや指摘を真摯に受け止めてくださり、指摘した商品以外についても、今後は入荷時に抜打ちで鑑別をするなど、購入者にとって有益となる対応を約束してくださいました。


経過については今後も見守らせて頂きますが(しつこい性格ですみません)、これまでに指摘をさせて頂いた大手業者様の中で、一番早く消費者の目線にあわせた対応を決定された業者様であったことだけは確かです。




■出品予告

今週末あたりにオークションへの出品を予定しています。

スリランカ産のブルームーンストーンも可能な限りの点数を集めました。10点ほど出品できると思います。ただ、ブルームーンストーンは希少石である事と、全ての商品をソーティングに出しているため、開始価格はこれまで取扱ってきた商品よりも高くなります。

この機会に是非本物を、とお考えの方にはお勧めできますが、代用品として販売されている「ラブラドライト」や「ペリステライト」にも、それぞれの魅力がありますので、特に本物に拘られない方は、無理な入札はなさらないで下さいね。

また、ブルームーンストーンに限り、新規IDでの入札は不可、入札件数の上限もお1人様あたり2点までとさせていただく予定ですので、ご理解のほど宜しくお願い致します。詳しくは出品時に再度お知らせ致します。


posted by isinohanasi at 21:52 | 業者と消費者の間にある認識の壁
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