2007年12月02日

第4回 QVCジャパン様の虚偽表示


QVCジャパン様の「ブルームーンストーン再販」について


予告していました記事内容を変更して、今回は「QVCジャパン様の「ブルームーンストーン再販」について」の見解を記載させて頂きます。


QVCジャパン様は昨夜より「ロイヤルブルームーンストーン」と称する商品の再販を始められました。そして今日は「モイラコレクション」までもが、販売をされWEB上に掲載されていました。私はこの再販と「ブルームーンストーン」の表示について、断固異議を唱えます


QVCジャパン様がどのような形で、また何を変更して「ロイヤルブルームーンストーン」と称した商品の再販を開始されたのか。また私が何を問題視して異議を唱えているのか、以前鑑別にも出したことのある「モイラコレクション」を例にとってお伝えいたします。
※鑑別の結果「モイラコレクション」に使用されていた石は「ラブラドライト」でした。詳しくは過去に掲載した記事をご参照ください。



ではます、下記の動画と商品説明の画像をご確認ください。どちらもQVCジャパン様が再販を開始された「モイラコレクション」の動画と商品説明です。




QVC様が再販を始められた「ブルームーンストーン」

■No.461200 18K WG ロイヤルブルームーンストーン & メレダイヤ リング /QVC価格 \59,850 (税込)

http://qvc.jp/cont/detail/ShohinDetail-cgry_73-hinban_461200.html?serverId=8

※リンク先に飛べなかった時のために商品説明の画像と動画を掲載しておきます。



「商品の動画」



buru1.jpg
「商品説明の画像」




■No.456794 18K WG ロイヤルブルームーンストーン ペンダント /QVC価格 \48,300 (税込)

http://qvc.jp/cont/detail/ShohinDetail-cgry_74-hinban_456794.html?serverId=8



「商品の動画」



buru2.jpg
「商品説明の画像」




前回までと、いったい何が変わったかわかりますか?

今まで「石名」として表示されていたフェルスパーが、ただ「鉱物名」に変更されただけです。しかも「フェルスパーのなかでも青いシラー効果を持つ石は、通称ロイヤルブルームーンストーンと呼ばれています」という表示では、QVCジャパン様がそのような社内定義をされているのだということが明確になっていません。要するに責任の所在が曖昧に濁されているのです


もう一度申し上げますが「青いシラー効果を持つ石は、通称ロイヤルブルームーンストーンと呼ばれています」は、消費者をあまりにも馬鹿にした表示です。この表示には販売する側のエゴと欲が凝縮されていると言っても過言ではありません。


では、なぜこの表示や販売方法が馬鹿げているのか、詳しく説明をさせて頂きたいと思います。


「フェルスパー」と呼ばれる鉱物は造岩鉱物で「フェルスパー・グループ」と呼ばれ、通常その成分構成により4つに分類されます。4つの分類の内容については、下記に記載していきますが、話が小難しくなってしまいますので、取りあえずまずは「4つに分類されているものなのだ」ということをご理解ください。



■フェルスパー・グループの4つの分類

@カリ長石であるオーソクレース(成長石)とマイクロリン(微斜長石)
Aソーダ長石であるアルバイト(曹長石)
Bカルシウム長石であるアノーサイト(灰長石)
Cバリウム長石であるセルジアン(重土長石)



これらの分類は、その鉱物に含まれる成分構成によって決まります。要するに同じフェルスパー・グループに属する鉱物であっても、この4つは成分構成自体が違うのです。そしてムーンストーンは@に分類され、ラブラドライトはAもしくはBに分類されます。

最近ではアフリカから大量に産出されるようになった「ペリステライト」が「ブルームーンストーン」として流通し始めています。けれどもこの「ペリステライト」もまた「ムーンストーン」とは違う特質を持っているのです。違いがあるからこそ分類が成され、それぞれに名称が与えられているのです。それらを混同させるような名称を用いて商品を販売することは、消費者に対する不誠実さの現れだと言えます。



今回、この件を指摘するにあたって、私はまず購入した商品の鑑別書を取り、その上で、なぜ「ラブラドライト」や「ペリステライト」を「ロイヤルブルームーンストーン」として販売することが問題になるのかを、誠心誠意ご説明させていただいたつもりです。

けれどもQVC様側は、私からの指摘を受けとめるどころか、フェルスパーを「鉱物名」と変更し、より誤魔化しを深めた販売を続ける方向へと進まれました。本当に残念でなりません。また「ロイヤルブルームーンストーン」と称した「ラブラドライト」を販売しておきながら「月の女神の〜」だの「女性がひとつは持っていたほうが〜」などと平気で「ムーンストーン」の説明をされている結城モイラさんに対しても、がっかりした、としか言いようがありません。


自らの非を認めることは、決して簡単なことではありません。けれどもその生涯をかけて「人を幸せに導く」仕事をされてきたはずの結城モイラさんのような方が「ムーンストーン」ですらない石の販売に加担して、いったい誰が幸せになるのでしょう。ご自身はそれで幸せになれるのですか?

自らの非を認めることができない人間に、本当に他人を幸せに導く事ができるのでしょうか。私はこのことを思う時、必ずといっていいほど日本マクドナルド株式会社の現代表取締役会長兼社長兼CEOである、原田泳幸さんの事を思い出します。


原田泳幸さんとは、アップルコンピュータ株式会社の代表取締役社長兼米国アップルコンピュータ社副社長であったにも関わらず「マックからマックへ、ですね」などと笑いながら、当時業績が低迷していたマクドナルド社へ電撃的な移籍をされた方です。移籍当時から面白いおじさんだなあ、と思っていたのですが、正直マクドナルドほど肥大した挙句低迷した企業が、今さらトップを変えたくらいでどうにかなるとは考えていませんでした。


けれども今回の不祥事に関する一連の対応を見ても、原田さんが移られてからのマクドナルド社の業績回復を見ても、企業とはトップの判断1つで、また顧客目線に立った改革で、いかようにも生まれ変わることができるのだと感じました。何かしらのトラブルや不祥事が起こった時にこそ、その人の人となりが問われ、企業の体質が浮き彫りになるのです。トラブルや不祥事は問題ではありません。それにどう対処するかが問題なのです


私は今回、結城モイラさんは業者に騙された被害者の可能性があるのではないかと考え、なんとかご自身の見解を伺いたいと、様々な手をつくしてきました。けれども事務所の電話番号は公開されておらず、2度送ったメールは返ってこず、ヨシヨシ様にお願いしても「連絡しておきます」と言われたきり放置。最後の手段としてQVC様に「結城モイラさんに私の電話番号を伝えてくれないか」とダメ元でお願いしてみたのですが、それもかなわぬまま、今回の放送内容を見る結果となりました。そして、この件に関わった人たちが出した「結論」を知るに至ったのです。



情けない。
人としてあまりにも情けない。そう感じずにはいられません。




皆さんは、貴石や半貴石と呼ばれるものが、どのような違いをもとに判別され、分類されているかをご存知でしょうか。記事が長くなってしまいますが、それぞれの貴石及び半貴石を分類する為に重視されている「違い」がどれほど些細なものであるかについても、この場で説明をさせて頂きたいと思います。


「その石が何であるか」を特定する為に有効な検査方法のひとつに「屈折率検査」と呼ばれる検査があります。人間がそれぞれに違う指紋を持っているように、同じ「人間」に分類されても「アジア人」と分類されていても個性や特徴があるように、貴石や半貴石にも、それぞれを定義づける特徴があるのです。そしてその大きな特徴の1つが、その石の持つ「屈折率」となるわけです。



屈折率」が実際にどのようにして計測されるかについても、ここで少し触れておきたいと思います。「屈折率」は「屈折計」と呼ばれる機材を使用して計測されます。その前段階として「偏光器」と呼ばれる機材を使用して、その石が単屈折であるか複屈折であるかを調べるのですが、今回は「屈折率」に重点を置いて記事を進めさせて頂きます。


「屈折計」という言葉だけを記載しても、今ひとつピンとこないと思いますので、私が個人所有している「屈折計」の写真を掲載しておきます。これは私が自分の勉強の為に購入したもので「偏光器」と「屈折計」が一緒になっています。


hen01.jpg
「屈折計と偏光器」



写真の左半分に写っている部分が「偏光器」右半分が「屈折計」となります。まず「偏光器」を使用して「単屈折・複屈折」の区別をしてから、それぞれに合ったレンズと「屈折液」を用いて「屈折計」でその石の「屈折率」を計測するのです。



hen02.jpg
「単屈折か複屈折かによってレンズを使い分けます」



hen03.jpg
「ガラス部分に屈折液を少量つけて石を置きます」



ken01.jpg
「ちなみに隣にあるのは顕微鏡です」



ken02.jpg
「宝石用の顕微鏡は下からも光をあてる仕組みになっています」




前置きが長くなりましたが、この説明を通して私が何をお伝えしたいと考えているか。それはとてもとても単純なことなのです。


その石が持つ固有の屈折率には、極わずかの差しかない。



たったこれだけ。


では「極わずか」とはどのような数値を指しているのか。有名どころの貴石半貴石の持つ「屈折率」の値を、いくつか記載してみます。


■貴石・半貴石が持つ「屈折率」の違い

・ルビー        1.760−1.768 〜 1.770−1.779
・エメラルド      1.571−1.577 〜 1.585−1.592
・アクアマリン     1.570−1.575 〜 1.580−1.586
・トルマリン      1.616−1.634 〜 1.630−1.652
・トルコ石       1.610−1.650
・ジェダイド      1.654−1.667
・アレキサンドライト  1.747−1.757
・クォーツ類      1.544−1.553
・アゲート類      1.530−1.539
・オパール       1.435−1.455


もちろん、実際の鑑別書作成には「屈折率検査」以外にも「比重検査」や「成分分析」などなど、それぞれに必要な検査が用いられますが、私がここでお伝えしたいのは、その石が何であるかを判断するための重要な判断数値のひとつである「屈折率」とは、コンマ3桁の中でひしめき合っている数値なのです。私たちが宝石だの天然石だのと呼び分けている石を数値で見ると、たったこれだけの違いしかないのです。言い換えるなら、たったこれだけの「違い」が非常に重要になってくるものなのです。


では、私が問題としている「ムーンストーン」と「ラブラドライト」の屈折率にはどのような違いがあるか、下記をご確認ください。

・ムーンストーン   1.520−1.528
・ラブラドライト   1.560−1.568


その差、最小で「0.032」最大で「0.048」

クォーツ類とアゲート類の屈折率の差が、最小「0.005」最大「0.023」である事を考えると、屈折率にこれだけの違いがある石を、「フェルスパー・グループ」であるというだけで「同じ石」であるとは言えません。また「ムーンストーン」と「ラブラドライト」では成分構成も違います。

※屈折率の差が一桁違うとのご指摘を頂きましたので、修正しました。ご指摘ありがとうございました。


そもそも商品に使用されている石が「ブルームーンストーン」であるためには、何よりもまず「ムーンストーン」であることが重要なのであって、何度も申し上げているように「ムーンストーン」ですらない石に「ムーンストーン」の名称をつけて販売することは間違いなのです


「ロイヤルブルー」の名称を使って販売をしたいなら「ロイヤルブルーラブラドライト」と表示するか、もしくは100歩譲って「ロイヤルブルーフェルスパー」が限界なのではないでしょうか。もしくは、販売する商品に本物の「ブルームーンストーン」を使用されるべきでしょう。


ただし、本物の「ブルームーンストーン」は現在とても希少な石であり、QVC様が取り扱っていらっしゃるような数のジュエリーを作成できるだけの原石を確保することなどできません



くどいようですが、ここでもう一度申し上げておきます。


現在QVC様がお取り扱い中の「ブルームーンストーン」は「ムーンストーン」ですらありません。「ラブラドライト」かもしくは「ペリステライト」のどちらかでしょう。以前は「ラブラドライト」が主だったようですが、最近の市場では「ペリステライト」を「ブルームーンストーン」と称して販売するケースが多いようです。これはアフリカから産出された石が、市場に多く出回るようになった為だと思われます。



また「ペリステライト」については、長くなりますので全宝協がネット上で公開している「Research Lab. Report」のペリステライトに関するレポートへのリンクを貼っておきますので、興味のある方はご一読ください。


Research Lab. Report  2005.04.22
「新産の長石変種 “ペリステライト”」

 http://www.gaaj-zenhokyo.co.jp/researchroom/kanbetu/2005/kan_2005_04.html



※リンクを貼ることが禁止されている等の問題がある場合は、お手数ですが下記のメールアドレスにご連絡ください。宜しくお願い致します。

連絡用メールアドレス。(アット)の部分を半角@に変更して送信してください。
 ishinohanashi(アット)mail.goo.ne.jp




と、いうわけで、QVC様が再販を始められた「ロイヤルブルームーンストーン」関連の商品は「ムーンストーン」ですらないと、私は考えています。そして、なぜこのようなことが断言できるのか、不思議に思われる方もいらっしゃると思いますので、次の記事では「ブルームーンストーンの希少性」に焦点を絞って、情報をお伝えしたいと考えています。


QVC様が1回目の問合せで回答された「致命的な内容」については、その後の記事での掲載を予定しています。この変更はQVC様が「ロイヤルブルームーンストーン」の再販に踏み切られた事によるものです。


業者様の姿勢に改善が見られない以上、まずは「本物のブルームーンストーンの希少性」に対する知識を、消費者の立場である方々に少しでもつけて頂く事が先決だろうと考えた上の変更ですので、ご理解下さいますよう宜しくお願い致します。




※念のため記載しておきますが、私が文中に掲載した「屈折計」や「顕微鏡」は個人的な勉強の為のものであって、通常私がオークションでお譲りしている天然石の鑑別は、私が行っているわけではありませんので、どうぞご安心下さい。



posted by isinohanasi at 04:40 | TVショッピングQVC様の虚偽表示
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